一定期間更新がないため広告を表示しています

  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

記録のためということで。
フィクションです。

--------------------------------------

彼は彼女にとって初恋の相手で、始めて付き合った相手だった。
お互い子どもで、恋愛なんて全然わからなかった。
それでも。
あれだけ何かに対して浮き沈みしたことがあるだろうか、というほど、彼女の気持ちの世界はぐるんぐるんと回った。

彼女は彼とひと目会えるだけで、少しでも声が聞けるだけで、なんでも頑張れるような、そんな幸せに包まれていた。
だけどそれが独りよがりのことだとは、付き合うというのは二人の時間を重ねてゆくことであるとは、そのときの彼女は微塵も気がつかなかった。
彼の心は次第に離れ、彼女の気がつかないうちに遠くへ行ってしまっていた。

彼は、彼女を傷つけたことに心を痛め、彼女のことは心の隅で気にしているものの、避けるように彼女の前からそっと消えた。
二人は別々の道を歩み、心に引っかかりを覚えたまま、何も接点のない二人に戻った。

数年後再会した彼に、彼女はあなた以上に好きになれる人はいないと伝えた。
しかし、そのとき彼にはその数年間ずっと支えてくれていた女がいたのだった。
それ以来、彼女はひそかに彼を思い続け、彼は彼女のことを心に引っ掛けながら、女を裏切ることはできなかった。

そんな宙ぶらりんの状態のまま、さらに数年がすぎていった。
彼女は高校卒業と共に地元から離れるか迷っていた。そして、彼の近くにいられるタイムリミットに、焦りを抱えていた。彼女は意を決して、再び彼に思いを告げた。
その頃彼は、女に離れていかれたばかりだった。
彼は女の影を引きずっていた。人と深くかかわることで、傷つき傷つけることが恐ろしくなっていた。
そんな彼にとって、彼女の思いは邪魔なだけだった。
しかし彼女を傷つけることを恐れた彼は、彼女に優しくしてしまう。二人でいる時間が、必然的に増えた。
彼女は尋ねる。そばに残っていてほしいかと。
彼にとって、それは恐ろしい質問だった。
そばにいてほしい、でも、責任は取れない。
彼は悩んだ末、ノーと答えた。

彼女は地元からはなれ、彼は地元に残り、遠く離れる。
連絡は取るものの、二人の間にはすっかり溝ができていた。
彼女は、彼のことはあきらめるしかないと思っていた。

一人誰も知らない地に来て心細く、さらに傷心の彼女に男があらわれる。
男は彼女を知らない世界に連れ出し、彼女は男のおかげでみるみる人が変わり、魅力的になっていった。

その頃、彼は彼女に対する虚無感に襲われる。
あんなに気になる人が、あんなに自分を思ってくれる人が、今までいただろうか、そしてこれから現れるのだろうか。ほんとうに手放してよかったのか。
彼は魅力的になった彼女に対して、恋心を否定できない自分に気がつく。
いまさら遅い、後悔。
しかし、彼は何も言えなかった。
そして彼と彼女の事情を知る者はほとんどいなかったため、彼はどこにも吐き出せず、しこりのようなものが、鬱々とたまっていった。
彼女はそんな彼の状態を知りながらも、自分を救い出してくれた男を裏切ることはできず、彼に対してどうすることもできなかった。

そこに、二人をよく知る女性が現れる。女性は二人に何か起こったとき、傷ついている彼女を慰め、悩んでいる彼の背中を押していた。
たまりかねた彼は、女性にすべてを吐き出す。そして弱い自分を包み込んでくれた女性に次第に惹かれて行った。
彼と女性のことを知った彼女は、とても喜んだ。彼女の目から見ても、彼と女性はお似合いに思えた。
彼女は心の中でふっと息をつく。
これで長年のお互いの呪縛から開放される、と。
あの頃から、8年の歳月がたっていた。

肩の荷が下りた彼女に、結婚の話が舞い込む。彼女は自分を変えてくれた男と一生を添い遂げる決意をする。
その頃には彼女はすっかり新しい土地になじみ、地元の話はほとんど彼女の耳には入っていなかった。

しかし、結婚を半月に控えた彼女に、突然彼から連絡がくる。
女性と別れた、やはり彼女のことが忘れられない、と。
彼は女性と別れてから一年間修行をし、たくましい男になっていた。だからこそ、もう一度彼女を振り向かせることができる自信があった。
彼女はそこで、彼に結婚のことを告げる。
彼女にとって、彼の告白はとても嬉しいものだった。また彼女も同様に、彼のような人は二度と現れないと感じていた。
しかし、こんなにもお互いを思っているのに、おそらくお互いに一番好きな相手なのに、結ばれない、いつも縁のない自分たちには、明るい未来が想像できなかった。

彼女はあえて彼を突き放す。
もう、十分すぎるほど気持ちで添い遂げた。
ここで離れることができれば、きっと二度と出会わないだろう。
そんな確信が、彼女にはあった。

彼は彼女の意思を汲み取り、あの頃のように、心の隅に彼女のことを置いたまま、彼女の前からそっと消えた。

 

 

JUGEMテーマ:日記と思いつき

  • -
  • 08:07
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

Comment





   

Calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

Profile

Link

Search

Selected Entry

Comment

Archive

Recommend

PR

Mobile

qrcode

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM

参加中

レビューブログ


にほんブログ村

InfoQ
infoQ新規会員登録

オススメ



Blog parts